想いを表現する訓練
先日、ネット上では、ある小学5年生の男の子がちょっとした話題になっていた。彼は任天堂が販売を開始したスウィッチが欲しかったのだが、お母さんに言ってもかってもらえなかったので、段ボールを使ってスイッチの原寸大模型を作成したそうだ。この仕上がり具合がよいということ、またその真っ直ぐな想いが多くの人に響いたというわけだ。
帰宅すると、長男がゲームを買って欲しいと甘えてきた。長男が5歳くらいの頃、DSを買い与えていたこともあったが、我が家では基本的にゲームは与えていない。手軽な楽しみを単に消費するだけの子供時代を送って欲しくないし、また長男はゲームをやり始めると、際限なくやってしまうという理由からだ。
こんな家庭環境なので、長男にとってはもっぱらYoutubeが ゲーム代わりになっている。そこでいろんな動画を見ていて、どうしてもやりたくなったゲームがあり、買って欲しいと懇願するに至ったのだ。
さて、話題がタイムリーだった私はすかさず、上記の男の子の話をし、自分がどれだけこのゲームが欲しいのか、プレゼンして見てくれと要求してみた。いきなりプレゼンなどと言われてもわからないのでその辺りは十分に説明した。
夜寝る時にまたその話になり、30分ほど二人で話し込んだ。長男はすぐに諦めるし、投げやりになる性格で、話をはじめてからものの5分ほどで、どうしたらいいか分からないから自分でお金を貯めて買うと言い出した。
そこで私も感情的にならずに粘り強く話を続けていると、話題がだんだん「ゲームをするときのルール決め」の話に及び、これはと思った私は、長男自らがルールを決め、それを破ったときの罰則も自分で決めるのはどうかと提案してみた。
自分がどれだけこのゲームが欲しいのか?をプレゼンするにはポイントが違うが、自分がゲームをする時のルールを自分で考えて決め、それを実行するから買ってくれという主張はなかなか良いプレゼンだと思う。これはやらせる価値があると考えた私は、その方向で自分なりにルールを考えて見てくれと伝えた。そして、ルールを作る時のアドバイスとして、厳し過ぎるルールは、継続できないから駄目、とにかく自分で決めたルールを守り続けることが目的だということを付け加えた。
驚いたことに、そのあとすぐに、決めたルールがうまく守れるかどうか、テストする期間をもうけたらどうか?と逆に長男が提案してきたのだ。さっきまで投げやりに、感情的に話をしていたのに、そのときには冷静に、考えながら前向きな話をしているのだ。
恥ずかしながら、子供との良好なコミュニケーションとはこのようなことをいうのではないかと感じた出来事だった。私たち大人が、親が、感情的になって怒りで屈服させるのではなく、冷静に論理的に対話することで、子供は素直に想いを表現できるようになる。こんな訓練を親子で重ねていくことで、お互いに良好なコミュニケ―ションを学んでいけるのではないかと思う。