仏(ほとけ)と言われる私のエッセイ

テーマはバラバラですが、ちょっとしたことを私なりに掘り下げて書いています。喜怒哀楽のある豊かな今後に向けて想いを綴りました。最初は音楽紹介から入りましたが、少しづつ変化してきたのでブログタイトルも変更します。

アスリートのメンタリティ ー宮里藍ー

一昨日報道ステーションに珍しく宮里藍のインタビュー映像が流れていた。インタビューをしたのは松岡修造。米ツアー挑戦から10年目に当たる今年はなんとか10勝をあげたいというものだ。彼女が米ツアーにチャレンジしてもう10年になるのにも驚いたがすでに9勝もしているのには本当に驚いた。しかしながら、2013年頃から得意のパットが精彩を欠き(とりわけ短いパットが入らなくなり)、優勝から遠ざかっているとのことだった。彼女がパットを武器にしていることは、それまでの実績が語っている。米ツアーのラウンド平均パット数で上位5位以内に4回も名前を連ねているのだ。そんな彼女が2014年には同様のランキングで100位にも入ってない。

 
きっかけは使いなれたパターを替えたことだそうだ。替えた当初はうまく使えたようだが、だんだんフィーリングが合わなくなり、最終的にはどう打ったらいいか全く分からなくなったそうだ。一度失ったフィーリングはなかなか取り戻せず、パターを元に戻しても1〜2mの短いパットが全く入らなくなった。
 
勿論様々な練習をこなし、改善に努め復調してきているというようなWEB上の記事なども多く見られるようだが、テレビのニュースで取りざたされるほどの結果を残してないことは、パットがなかなか良くなっていないことの裏付けだろう。
 
そんな彼女が取材を受けてテレビに出るということは、今年のツアーではパットの調子を取り戻し、優勝争いができる自信が出てきたことの表れではないかと思う。復調のきっかけは、キャディの何気ない一言だったそうだ。「(パットが)これ以上悪くはならないからそんなに心配するな」という内容だ。彼女としては散々悩んで色んな練習を重ね良くなってきているという手応えはあった。それを一番知っているはずのキャディがなぜそんな事を言うのか、腹が立った彼女は「良くなってるし!」と言い放ったそうだ。
 
しかしその日お風呂の中でそのことを思い返していた彼女は、なぜキャディのたった一言にそんなに腹を立ててしまうのかと考えた。キャディは9年も一緒に戦ってきた人だ。自分の復調を望んでないはずがない。自分の感じ方がおかしいのではないか、早くよくなりたい、うまく見せたいという自分のエゴを通しているだけではないか、そう思うようになったそうだ。この気持ちの切り替えは彼女にとって大きなことだった。すでに2015年のツアー第一戦はホールアウトしているが、24位という成績と内容には満足しているというコメント残している。確実に復調してきており今後に期待がもてそうなのだ。
 
インタビュー終了後、松岡修造がこうコメントしていた。「アスリートのだれにでも起こることだが、調子が悪くなった時、これまで自分の味方であったもの(道具やコーチなど)が敵になってしまう時がある。彼女はそのことに自ら気付き、切り替えることができた。このメンタリティが素晴らしい。」
 
彼女自身も、不調のきっかけになったパターを「もう二度と使わない」と言っていたし、当時はこのパターのせいにしてパターを恨んだことだろう。しかし「今はこのパターには感謝している」とも述べていた。もともと彼女は米ツアーの主要選手で技術面はトップクラスの実力だ。その彼女が長いトンネルでメンタリティ強くすることができた。そんな彼女の今シーズンは是非注目したいところだ。久々のツアー優勝に涙のコメントを心待ちにしている。