仏(ほとけ)と言われる私のエッセイ

テーマはバラバラですが、ちょっとしたことを私なりに掘り下げて書いています。喜怒哀楽のある豊かな今後に向けて想いを綴りました。最初は音楽紹介から入りましたが、少しづつ変化してきたのでブログタイトルも変更します。

変な小学生 ーある日の電車内での出来事ー

今日の電車内での出来事だ。人間模様が見て取れて面白かったので簡単に記載しておこう。毎日のように乗るJR総武線。お昼をすぎた14:00頃だっただろうか。最寄りの四ツ谷から水道橋までの短時間の出来事。いつも座れる場所があれば何がなんでも座るタイプの私ではあるが、今日はあいにく空きの座席がなく、扉の両サイドのもたれかかることができる場所(こういう呼び方をすればわかってもらえると思う)に落ち着いた。私の隣の座席の一番端には年配の男性(60代ぐらい)、その隣に小学生(3〜4年生ぐらい)、小学生のちょうど前あたりに大学生ぐらいの女の子、他はあまり覚えていない。この3人が主な登場人物だ。

電車の扉が閉まり、電車が走り出すと、すぐに小学生の子が結構大きな声で「足をどけてください!」と言った。何かなと思ってよく見ていると、どうやら隣の年配の男性の足が自分の足のまえあたり来ていて、鬱陶しかったのだろう。おじさんも1度目は無視をしたと思う。そんなことを観察していると、すぐに小学生から次の言葉が飛んだ。「足を僕の前に出さないでください!」かなり頭にきていたのか、二言目が出てくるのに時間はかからなかった。小学生の二言目にも男性は多分無視を決め込んだようだ。小学生は繰り返す。「聞こえないんですか?足をどけてくださいって言ってるんです!」毅然としているが結構丁寧な発言だなあと思った。小学生から態度を注意され、周りの人の注目も浴び、かなり気まずくなったのか、年配の男性もなにやら隣の小学生に小声で反論している様子だったが、何を言ったのかはよく聞こえなかった。ただ、足をどかそうとしなかったため、意地を張って張り合ったことはよくわかった。ここまでほんの1分程度のやり取りのだ。
予想通り次の市ヶ谷で年配の男性は電車を降りた。それはそうだろう。子供に態度を戒められて恥をかかされたんだから。まあ逆ギレしてくれないでよかった、というものだ。因みに彼らが問答している間に、近くにいた何人かの人はそっとその場を離れた。まあ変に小学生に変に絡まれて気まずい思いをすることがなんとなく予想された状況だったからしょうがないだろう。
市ヶ谷では小学生の両隣が電車を降り、小学生は端の席に詰めた。元々自分が座っていたところが空席のままだった為、小学生は次の行動に出た。「空きましたよ。座ってください。」声をかけられたのは、元々小学生の前に立っていた女学生だ。これまでの年配の男性との問答を目の当たりにしていた女学生は当然丁寧にお断りした。「大丈夫。」もちろん相手と周りの状況考えて可愛くそっと一言だけだ。でもこの小学生はたたみかける。「立ってると疲れるでしょ。座ればいいのに!」さっきよりは明らかに語気が強くなっていた。どうしても座りたくない女学生は身振りも加えて相変わらず「大丈夫。大丈夫。」とだけ。早くこの場を立ち去りたいけど、今その場を去れば周りの人に逃げたと思われるからそれも簡単にはできない心理がよくわかった。そしてとどめのひとこと。「だから早く座って!」 これはもう命令の域に達していた。この一言には女学生もひとたまりもなかった。苦笑いを浮かべながら「ありがとう」の一言をそえて小学生の隣に収まってしまったのだ。意のままに女学生を飲み込んだ小学生はニコニコして隣の女学生に話しかけていた。「立っていると疲れちゃうもんね。」
御察しの通り、女学生は次の飯田橋で電車を降りた。御茶ノ水で中央線に乗り換えるか、秋葉原下車の予定だったろうに。女学生が電車を降りるとわかるや、小学生は別れの言葉を発した。ある一言とともに。「じゃあまたね。かわいいね。」小学生は笑顔で見送っていた。
首都圏の電車内では様々なことがあるが、今日のこのやりとりは私の記憶に残る出来事だ。都内にはいろんな人がいるからこんな小学生がいてもおかしくはない。からまれた人は不運としか言いようがない。いきなりこんな状況になっても気のきいた切り返しもなかなかできないだろう。私も成行きを見届けたかったからその場を離れなかったので、この小学生に絡まれる可能性はあった。だからもしからまれたらどんなスタンスで接しようかと少し考えもした。でも周りの人に喜んでもらえそうな切り返しなどできなかっただろう。
いずれにせよこの小学生、このままだと良い大人にはなれないだろうなと思った。自分の息子はこんな風にならないように育てたい。親ばかかもしれないが、幸いいまのところ素直な良い子に育っている。