仏(ほとけ)と言われる私のエッセイ

テーマはバラバラですが、ちょっとしたことを私なりに掘り下げて書いています。喜怒哀楽のある豊かな今後に向けて想いを綴りました。最初は音楽紹介から入りましたが、少しづつ変化してきたのでブログタイトルも変更します。

東部鉄道の手厚い対応について

あまり人に言える内容ではないが、一昨日久しぶりに電車を乗り過ごした。私の通勤路線の性格上、乗りすぎると場合によっては栃木まで行ってしまうこともあり、危険なのだ。今回は春日部駅で降りるところを約30分程熟睡し、同じ埼玉県の加須まで行って慌てて起きた。当然帰りの便などとうに無く、今回はどうしようかなと考えたが、近くに頼み漫画喫茶も無く、ファミレスで時間を潰す気力もなかったので、ビジネスホテルに泊まることにした。

 
タクシーという選択肢も勿論あったが、加須からタクシーに乗ればゆうに1万3千円は下らないだろうから、はなから考えることもなかった。
 
こんな田舎だからビジネスホテルでも安く泊まれるかなと思ったが、6000円と思いの他高くついた。タクシーに乗って最寄りの漫画喫茶まで行き、またタクシーで駅まで帰ってくるという手もあって、コスト的にはその方が安かったが、もういい年だしそんな体力もなく、今回はそれ程迷う事なくビジネスホテルに入った。
 
翌日は加須駅を6:05に出る急行に乗ったが、すでに通勤の人で一杯で座れないまま春日部駅まで出て、通常の帰途につき、身支度を整え替えてまた出勤の途についた。
 
出勤途中で加須付近の市外局番から私の会社携帯に連絡が入った。嫌な予感がした私はすぐさまポケットの中の財布を取り出し確認した。クレジットカード、免許証、銀行のカード、保健所等必要なものは揃っていたのでとりあえず一安心した。
 
携帯の留守電を確認すると、東部鉄道加須駅からだった。必要なものは全てある、何の用だろうか?ふと疑問に思ったが、東部鉄道が私の会社携帯の番号を知っているはずがなく、名刺入れだということはすぐに分かった。
 
この日は忙しく電車で移動して回っていたので、折り返しはお昼を過ぎた頃になった。連絡を入れて名乗ると、すぐに名刺入れが届いていますと説明があった。でも加須駅まで取りに行くのは大変だなあと思っていると、すぐさま通常利用しているのはどちらの駅でしょうか?という質問があった。ひょっとしてと思い、春日部駅を利用している旨説明をすると、やはり春日部まで名刺入れを届けてくれるというのだ。
 
何度か経験があるがJRだとこうはいかない。JRの場合は忘れ物が集約される駅が各線で決まっているから、必ずそこまで引き取りに行かなくてはならない。過去に一度ジャケットを棚の上に置いたまま降車したことがあり、翌朝すぐに連絡を入れたが、見つかりもしなかった事がある。その点東部鉄道の場合はいつも利用している東部の駅まで届けてくれるというのだ。これはありがたいと素直に感じた。
 
感心すべき点はこれだけではない。春日部に届ける旨私に説明した後、春日部の場合は西口と東口があるからどちらの窓口が対応するか、一度春日部に連絡を取った上で再度連絡をくれる、というのだ。私は宜しくと言い電話を切った。すぐに連絡があったが、他の電話に出ていて出られず、またその後もすぐに電車で移動したりと慌ただしかった為、うっかり折り返しをするのを忘れてしまった。
 
翌朝いつもの通勤時間に再度加須駅から連絡が入った。勿論電車だから電話には出られなかったのだが、電話の内容は大体分かっているし、私にとっては今すぐに必要かつ緊急な物でもなかったので、連絡は後回しにした。
 
その日の午後、今度は048から始まる埼玉県に一般的な番号から連絡が入った。留守電を確認すると東部鉄道春日部駅だという。名刺入れが届いている、一度お手隙の折に連絡をくださいという内容だった。前日に私が春日部を利用していることを聞いた加須駅の方が転送して翌日には春日部に届いているというのだ。
 
よくはわからないが、東部鉄道の忘れ物対応にはきちんとしたマニュアルがある。届けがあった駅で、①落とした方の連絡先がわかる場合は、直接連絡をいれ、落し物があった事と、最寄りの東部鉄道駅まで届ける旨説明し、転送先の駅を聞き出す。②現物は翌日に、または翌々日には希望の駅に届ける ③現物が届いた駅では落とした人に連絡をいれ、すでにものが届いていることを伝え、引き取りを口頭できちんと促す。
 
私は春日部駅から連絡があった時点で上のようなことを考えた。彼らは手を抜くことなく、一人の乗客の落としものについて、その方の手元に素早く届けるべく、マニュアルをきちんと遂行しているのだ。持ち主が電話に出ない場合でもきちんと留守電にコメントを残し、しばらく時間をおいてまた掛けてくる。落としものの数がどれほど多いかは分からないが、私のようにスムーズに連絡が取れない人も多いだろう。場合によっては連絡すら取れないことがあるとも思う。それでもいい加減になることなく、あなたの利用する駅にとどけてあるから、都合のよいときにいつでも引き取りに来てくださいと確実に伝える為に電話をかける。
 
私はこの一連の対応と駅間の連携をみて、連絡をくれていた加須駅にすぐに連絡を入れ、連絡ができなかったことについてお詫びをした。駅員が一生懸命にやっていることについて、私がいい加減な態度(すぐに連絡を取らなかったこと)を取ったことが恥ずかしくなったからだ。一生懸命になっている人にいい加減な態度で臨むことは、私のポリシーに反するし、そんなことをしていれば必ずどこかで自分に跳ね返ってくる。そんな風に思ったのですぐに汚名返上のアクションに出たというわけだ。
 
勿論そのあとすぐに春日部駅にも連絡を入れ、引き取りに行く旨きちんとお伝えし、お礼を言って電話を切った。
 
他の私鉄が忘れ物や落し物に対し、どういうスタンスなのかは分からないが、落としものをした側が「お詫びをいれる」という風にはならないだろう。でも今回は私が謝った。これがJRとかだと、大事なものを落とした本人が後で気づいて連絡したが、落し物には届けられていないという事実を知り、歯がゆさを感じているところに、電話に出た駅員の口調が、あまりにも情けのないもので、トラブルになってしまうというのがよくあるパターンではないかと思う。
 
でも今回は私が謝った。そこに東部鉄道の凄さを感じたのだ。これまで今一つぱっとしない郊外の鉄道会社というイメージだったが、この一件で私の印象はがらっと変わった。毎日の通勤で当たり前に利用する電車だが、これからは利用させて頂きますという気持ちだ。