仏(ほとけ)と言われる私のエッセイ

テーマはバラバラですが、ちょっとしたことを私なりに掘り下げて書いています。喜怒哀楽のある豊かな今後に向けて想いを綴りました。最初は音楽紹介から入りましたが、少しづつ変化してきたのでブログタイトルも変更します。

うめわさという一品料理 ー 社長のさりげない振る舞い ー


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 今週はうちの社長が一週間東京に来ていて、連日晩飯をご馳走になっている。今日も社長がおでんを食べたいということで、近くのおでんやに行ってきた。真夏の暑い時期におでんとはなかなかないのではないかとも思ったのだが、お店はむしろ大繁盛で、おでんは冬の食べ物という思い込みは完全に否定されてしまった。

うちの社長はどちらかというとスピリチュアルなタイプでロジカルではない。得意分野以外のことは余り話し上手な方でもない。今日はじめて訪問したお客様で、簡単かつ明瞭な解答を求められるシーンがあったが、それに対しても少なくとも的確に答えることは出来なかった。社長自身としても商談の手応えは感じられなかったはずだ。私も今回の訪問で、お客様との間に何かしら新しい接点ができればいいなあと思って社長を連れて行ったが、このありさまに正直ガッカリした。

 

それでもうちの社長はたかだか数億の規模の会社を今や40億の規模まで伸ばした立派な経営者だ。どこぞのサラリーマン社長とはその実績値の重みが異なる。食品のパッケージを扱う会社だけに、中身にもかなりのお金をかけ、自身の味覚で色んなものを試してきているだけに食品に対しての経験値と知識がちがう。そんな社長がおでんの店で【うめわさ】をオーダーした。そして焼きのりと一緒に持って来てほしいと合わせてオーダーした。たこわさなら知っているがうめわさははじめて聞いた。

 

最初に社長はのりにうめわさのみを巻いて食べるように促した。次に渡されたのは、のりにきゅうりとうめわさが入っていた。うめわさだけのは、それはそれで良かったが、きゅうりが入ることで俄然みずみずしさが加わり、バランスの良い味になった。へぇーっと感心していると今度はうめわさ、きゅうりに少しのしそが添えられて渡された。渡されたときはしそが入っていることがわからなかったが、食べた瞬間にしその良い風味が味わえたのですぐにわかった。

 

うめわさといえばたぶん簡単な一品料理だろう。それを少しづつ工夫し、分かりやすい変化を加えて小出しにするところに社長の気配りやおもてなしの精神を見た気がした。正直この手際が楽しいと感じた。本来ならば蘊蓄の1つも言いたいところだったのかも知れないが、何も言わずに私たちの反応を楽しんでいた。なにかと不満の多い社長でもあるが、こういう所作はさりげなくて格好いいと思う。