仏(ほとけ)と言われる私のエッセイ

テーマはバラバラですが、ちょっとしたことを私なりに掘り下げて書いています。喜怒哀楽のある豊かな今後に向けて想いを綴りました。最初は音楽紹介から入りましたが、少しづつ変化してきたのでブログタイトルも変更します。

台東区に見る国際化の妙

学生時代は兵庫県の西宮市に住んでいた。今から15年以上前になる。昔から牛丼はあまり好きでなかったので、当時全盛期だった吉野屋にもあまり行かなかったが、3ヶ月に一度くらいは、友人と酒を飲んだ後や、深夜に小腹が空いた時などにお世話になっていた。

 
当時は並盛りが400円、卵と味噌汁がそれぞれ50円で、500円セットなどとよく言われていた。この後円高や競争の激化で急激に価格が下がったり、と思えば狂牛病の影響で牛丼そのものがなくなったりと本当に変化の激しい業種だなぁと気の毒にかんじる。最近は価格もなんとか落ち着いているようで、中でも松屋などは普通の牛丼がなかったりする。その代わりプレミアム牛丼があるのだが、これがまた旨い。
 
私は、肉に関してはちょっとうるさい方だと思っていて、小学生の頃から家で焼肉をするときは、私が肉の購入を一任されていた。今でもそれは変わりなく、近くにあるスーパーでどんな肉がどの程度の価格体系で販売されているか、だいたい把握している。子供がまだ小さいので、400グラムもあれば牛肉は十分なので、まだまだクオリティを重視していて、最低でも国産のA4クラスの肉を買うようにしている。細切れ肉なら、このクラスの肉でも300円〜350円/100グラム程度で購入できるので、十分すぎるほどに満足ができるのだ。
 
で、松屋のプレミアム牛丼だが確かにプレミアムなのだ。勿論私が焼肉の時に購入するようなクオリティの肉など使っているわけではないのだが、食べていると何度かそれに近い味がするのだ。肉そのものの素材なのか、味付けなのかはよくわからないが、すき家や吉牛とは確実に違うのだ。勿論味覚など人それぞれだから好き嫌いはあると思うが、是非一度食べ比べをしてほしいなあと思う。
 
さて前置きが長くなったが、今日もそんな松屋でプレミアム牛丼を食した。昨年くらいから都内の外国人は急激に増えていて、最近でも外国人観光客が1300万人を突破したなどという報道がなされているように、都内で仕事をしていると本当に素肌感として実感できる。仕事上浅草に行くことも多く、中国人と思しき人を中心に半数以上が外国人ではないかと思うことがある。お店に入る前も入谷の交差点で政治家らしき人が街頭演説をやっていて、観光客数の多い都市について声をあげていた。1位はやはり京都(5,000万人)らしいのだが、2位はなんと台東区(4500万人)なのだ。勿論浅草があるから頷けるのだが、1位の京都にかなり近い数字なのだ。
 
そんな台東区のとある松屋でプレミアム牛丼を楽しんでいた時に出身国がよくわからない外国人が2人やってきた。観光客なのかはわからないが、容姿は東欧?っぽかった。当然言葉はさっぱりわからなかった。彼らは食券販売機の前でしばらく会話していた。買い方わからないのかなあと思っていたが、ちゃんと買ってテーブルにつき、食券を渡すことができた。システムをクリアできた様子だ。ただし食券を受け取った店員がなにやら質問をしている。やはり何か不自然な買い方をしたのだろう。何を話しているかはよく聞こえなかったが、英語すら話せない私には何の仲介もできそうになかった為静観することにした。
 
店員はカウンター内を何度か行き来しつつ、実際のものを見せつつ徐々に意思の疎通をしている様子だった。彼は時折英語のような言葉を発していたが、私は彼の英語の発音に少し違和感を感じていた。明らかに英語は話せないようなのだが、妙に発音がいいのだ。話せない日本人なら英語をカタカナで発音するのに、彼はそうではなく、それっぽく発音するのだ。もしやと思って店員の名札を見たらやはり「ウェイ」と綴られていた。「やられた!」と思ったが、同時にちょっと嬉しく感じた。
 
外の街頭演説は松屋の店内での出来事の伏線だったのだ。街頭演説で台東区の観光客がすごく多いことを私に聞かせて、外国人が増えていることを思い起こさせておいて、さらに店にきた2人の出身国不明の外国人の存在。そしてオチは中国人の店員。これは決して偶然ではないはず。そう思って少し嬉しくなった。